井川社有林の概要
地理
本州の中央部、長野・静岡・山梨の3県にまたがる南アルプスは、わが国最大規模の山岳地として知られています。その中で井川社有林は、くさび状に突出した静岡県の最北端、大井川の最上流部に位置した、東西の最広部約13km、南北約33kmの1団地で面積は約24,430ha。これは、民間が日本国内に所有する1団地としては最も広く、東京のJR山手線で囲まれる面積の約4倍に相当します。
井川社有林は、最北端にわが国第3位の高峰、標高3190mの間ノ岳(あいのだけ)がそびえ、東側(山梨県境)を農鳥岳・笊ヶ岳(ざるがたけ)をはじめとする白根山系と、西側(長野県境)を塩見岳・荒川岳をはじめとする赤石山系とにはさまれた急崚な奥地山岳林でそのほぼ中央を大井川が幾多の支流を集め南流し、最も低い部分の標高は約960mとなっています。
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間ノ岳
南岩峰から
標高3190メートル
国内第3位の高峰 -
農鳥岳・西農鳥岳
三国平から
標高3025メートル
春に残雪で鳥型が現れ、
これを農作業の目安とした -
塩見岳
三伏山から
標高3047メートル
天狗岩・北俣岳を従えた姿が特徴的 -
東岳(悪沢岳)
荒川中岳から
標高3141メートル
巨岩の重なる広い山頂 -
赤石岳
荒川前岳お花畑から
標高3121メートル
1等三角点の山頂 -
聖岳
上河内岳への登りから
標高3013メートル
日本アルプス最南の3000m峰
歴史
- 江戸時代
- 井川社有林一帯は駿府の国の防御線としての直轄地(天領)であった
紀伊国屋文左衛門らが大井川上流部で木材伐採
- 1895年
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当社創業者である大倉喜八郎が購入
東京帝大助教授の右田半四郎に山林調査を依頼
その結果、豊富な森林資源・水資源の存在が判明
- 1907年
- 豊富な森林・水資源を活かすため、当社前身となる東海紙料㈱が創立
- 1912年
- 木材生産事業開始
- 1926年
- 大倉喜八郎赤石岳登頂
- 1964年
- 南アルプス国立公園制定
これを機に、静岡県等により登山小屋が整備され、登山客が増加
- 1974年
- 二軒小屋ロッヂ完成
- 1978年
- 椹島ロッヂ営業開始
- 1979年
- 宿泊客向け送迎バスの運行を開始
- 1982年
- 台風による被害で木材生産事業中断
- 1990年代
- 各登山小屋がリニューアル
- 2007年
- 南アルプス白簱史朗写真館完成
- 2009年
- 二軒小屋ロッヂ新館完成
- 2014年
- 井川社有林全域がユネスコエコパークに登録
- 2020年
- 井川蒸溜所開所
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赤石岳山頂に立つ創業者大倉喜八郎
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チェンソー導入前の伐採作業
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川の流れを利用して木材を運搬した川狩り
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1974年に完成した二軒小屋ロッヂ